全身性強皮症を知る

全身性強皮症ってどんな病気?

全身性強皮症の特徴

全身性強皮症は、皮膚や全身の臓器が硬くなる病気です。

皮膚や全身のさまざまな臓器がだんだんと硬くなっていくことが特徴の病気です。診断の技術や治療法の進歩によって、以前よりも病気をコントロールできるようになってきましたが、現在でも病気の原因が不明で治療が限られていることから、厚生労働省の指定難病とされています。

全身性強皮症は、膠原病のひとつです。

膠原病とは、自己免疫異常により「血管」や「結合組織」に炎症がおこる病気のグループの総称で、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどがあります。全身性強皮症は膠原病のひとつであり、自己免疫異常・血管障害に加えて線維化を特徴とし、皮膚や臓器など全身に症状があらわれる疾患です。

代表的な膠原病

  • 関節リウマチ
  • 全身性エリテマトーデス
  • 全身性強皮症
  • 多発性筋炎/皮膚筋炎
  • シェーグレン症候群
  • 混合性結合組織病
  • 血管炎症候群

患者数・男女比・発症年齢

日本では、

2.7万人

の患者さんがいます1)

患者さんの

9割以上が女性

です2)

はじめて症状が出た年齢は

30歳~50歳代

の方が多いです2)

日本では、約2.7万人の患者さんがいます。

2017年に、全身性強皮症として指定難病の医療費助成を受けている患者さんは約2.7万人です1)。助成の対象とならない症状の軽い患者さんや、診断がついていない人などを含めると、もっと多くの患者さんがいると推定されています。

3050歳代の女性に発症しやすい病気です。

患者さんの9割以上が女性で、男女比は1:12とされています。また、はじめて症状が出た年齢は、30歳~50歳代が多くなっています2)

病気の原因

全身性強皮症には、自己免疫異常、血管の障害、線維化 という3つの異常が関わっていると考えられています。

全身性強皮症の患者さんのからだの中では、何らかの原因で免疫システムが異常をおこし、自分のからだを攻撃する「自己免疫異常」が生じています。その結果、血管の壁の細胞が攻撃されて「血管の障害」がおこります。攻撃された血管の壁の細胞からは刺激物質が放出されます。その刺激によって、近くの細胞がコラーゲンをたくさん分泌することで、皮膚や全身のさまざまな臓器が硬くなっていく「線維化」がおこります。これら3つの異常が絡み合って、それぞれの患者さんで複雑な症状があらわれます。

病気の原因
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免疫システムは、外から侵入してきた細菌やウイルスなどを撃退して、からだを守っています。このシステムに異常がおこると、自分のからだを「自分のものではない」とかんちがいして、攻撃してしまうことがあります。これを自己免疫といいます。自分のからだを認識する抗体を自己抗体といい、全身性強皮症のほとんどの患者さんでみつかります。
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患者さんは、血管が厚く硬くなって内側が狭くなったり、毛細血管が壊れたりしてしまいます。血管に障害がおこった部分では、血行が悪くなってさまざまな症状があらわれます。また、酸素が足りなくなって血管の細胞が傷ついてしまうだけでなく、近くにいる細胞も異常な状態になってしまいます。
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皮膚や肺が硬くなる変化のことを線維化といいます。皮膚や臓器にある細胞が異常な状態になると、コラーゲンをたくさん作り出します。このコラーゲンがどんどん溜まっていくと、皮膚や臓器が硬くなってしまいます。

感染や遺伝はしない病気です。

全身性強皮症などの膠原病は感染しません。また、遺伝する病気ではありません。しかし、全身性強皮症の患者さんの親族に、ほかの膠原病の患者さんがいることも多く、膠原病になりやすい体質が遺伝する可能性があることがわかっています。

発症のきっかけはわからないことが多い病気です。

全身性強皮症が発症するきっかけとして、有機溶媒などの化学物質、じん肺などの事例が知られています。しかし、多くの患者さんは、はっきりしたきっかけがなく発症しています。

1) 平成29年度衛生行政報告例 第10章 難病・小児慢性特定疾病 特定医療費(指定難病)受給者証所持者数, 年齢階級・対象疾患別.

2) 難病情報センターホームページ201911月現在)

どんな症状が出るの?