全身性強皮症を知る

これからどう経過するの?

経過は患者さんごとにさまざま

病気の経過が異なる2つのタイプに分けられます。

全身性強皮症は、2つのタイプに分けられます。皮膚が硬くなる範囲が、手や足の指先から肘や膝までにとどまるタイプを限局皮膚硬化型(げんきょくひふこうかがた)といい、約70%の患者さんはこのタイプです。皮膚が硬くなる範囲が、肘や膝を越えて、二の腕や胸など、からだにまで広がるタイプをびまん皮膚硬化型(びまんひふこうかがた)といい、約30%はこのタイプです。

Heading限局皮膚硬化型びまん皮膚硬化型
皮膚が硬くなる範囲

手や足の指先から肘・膝の間

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肘や膝を越えて、二の腕や胸など、からだにまで広がる

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病気の進行のスピード比較的ゆっくり進む急速に進む
症状があらわれやすい臓器肺(間質性肺疾患、肺高血圧症)、消化管など肺(間質性肺疾患)、腎臓、消化管、心臓など
陽性になりやすい自己抗体抗セントロメア抗体抗トポイソメラーゼⅠ抗体
抗U1RNP抗体抗RNAポリメラーゼⅢ抗体
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それぞれのタイプでは、病気の進み方にちがいがあります。

限局皮膚硬化型での皮膚硬化は、十数年から数十年といった長い期間をかけて比較的ゆっくりと進みます。症状があらわれやすい臓器は、肺(間質性肺疾患、肺高血圧症)、消化管などで、いつ症状があらわれるか予測が難しいため、定期的な検査が大切です。
びまん皮膚硬化型での皮膚硬化は、発症してから数ヵ月~数年の間に急速に進みます。数年の間に進み方がピークに達した後は、ゆるやかに改善していきます。ただし、肺などの臓器では、一度硬くなってしまうと、元の構造が破壊されてしまっているため、機能を元に戻すことは困難です。間質性肺疾患などの重い症状は、発症してから早い時期にあらわれることが多いため、特にこの時期は症状の変化に注意しておく必要があります。
このように、典型的には、それぞれのタイプで病気の進み方に特徴がありますが、どちらのタイプであっても、病気の進み方は患者さんごとにさまざまです。定期的に診察を受けて、ご自身の病状を把握することが大切です。

それぞれのタイプにおける皮膚硬化の進み方の典型例(イメージ図)

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ほかの疾患との合併

ほかの膠原病と合併することがあります。

全身性強皮症の患者さんでは、ほかの膠原病を同時に発症することがあり、オーバーラップ症候群(もしくは重複症候群)といわれます。家族や親せきに膠原病の方がいるなど、膠原病になりやすい体質をもっている患者さんに多いとされています。全身性強皮症と合併することが多いのは、全身性エリテマトーデスや多発性筋炎/皮膚筋炎などです。また、いろいろな膠原病の症状が少しずつあらわれる、混合性結合組織病(MCTD)という病気もあります。

どんな検査があるの?

どんな治療があるの?