全身性強皮症を知る

どんな治療があるの?

治療について

病気をコントロールして、上手にこの病気とつきあって、生活していきましょう。

全身性強皮症は長期にわたって症状が続き、現在でも完治できる治療法はありません。高血圧や糖尿病の治療のように、病気をコントロールしながら上手にこの病気とつきあって、生活していきましょう。

症状をやわらげるための治療と病気の進行を抑えるための治療があります。

病気の勢いやどの臓器に症状があるかなど、それぞれの患者さんの病状にあわせて治療方針を決定します。治療法には、痛みや胸やけなどの症状をやわらげるための治療と、皮膚や肺などが硬くなるのを抑えて病気の進行を遅らせるための治療があります。

全身性強皮症のおくすり

免疫抑制薬:免疫に関係する細胞の働きを抑えるおくすり

皮膚や肺が硬くなるのを抑える働きがあるとされています。副作用として、感染症にかかりやすくなる、赤血球や白血球などの減少、不妊、出血性膀胱炎などがあります。

副腎皮質ステロイド薬:炎症を抑える作用と免疫の働きを抑える作用をもつおくすり

倦怠感や皮膚のむくみを軽減する働きがあるとされています。副作用として、感染症にかかりやすくなる、骨粗しょう症、ムーンフェイス(顔が丸くふくれる)、体重増加、消化管の潰瘍、骨の壊死、高血圧や糖尿病、精神的な不安定、白内障や緑内障などがあります。全身性強皮症の患者さんでは、腎クリーゼ(参考:「その他の症状」 )がおこりやすくなるという報告もあります。

症状をやわらげるためのおくすり

それぞれの患者さんにあわせて、症状をやわらげるための治療が行われます。レイノー現象や指先の潰瘍に対しては、血管を広げるおくすりが使われます。また、胃の内容物の逆流による胸やけや胸痛には、胃酸の分泌を抑えるおくすりや消化管の働きを強めるおくすりが使われます。

全身性強皮症に伴う間質性肺疾患(SSc-ILD)の治療

治療は、呼吸機能の低下を抑えて、病気の進行を遅らせることを目標に行います。

線維化によって肺の組織が壊れてしまうと、呼吸の機能を回復させることは困難になります。そのため、肺が硬くなるのを抑えて呼吸機能をできるだけキープし、病気の進行を遅らせることが目標になります。

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おくすりによる治療

肺が硬くなると、息切れがして日常の生活がしにくくなったり、病気が進んで生命に関わる場合もあります。そのため、肺が硬くなるのをできるだけ抑えて、呼吸機能をキープすることが重要です。 全身性強皮症に伴う間質性肺疾患(SSc-ILD)では、免疫抑制薬や抗線維化薬が使われます。これらに加えて、副腎皮質ステロイドが補助的に使われることもあります。

  • 免疫抑制薬は、免疫に関係する細胞の過剰な働きを抑えるおくすりです。副作用として、感染症にかかりやすくなる、赤血球や白血球などの減少、不妊、出血性膀胱炎などがあります。
  • 抗線維化薬は、線維化によって肺が硬くなるのを抑える働きがあるとされています。副作用として、下痢、体重減少、吐き気、肝機能障害などがあります。
  • 副腎皮質ステロイドは、炎症を抑える作用と免疫の働きを抑える作用をもつおくすりです。副作用として、感染症にかかりやすくなる、骨粗しょう症、ムーンフェイス(顔が丸くふくれる)、体重増加、消化管の潰瘍、骨の壊死、高血圧や糖尿病、精神的な不安定、白内障や緑内障などがあります。

症状をやわらげる治療と悪化の予防

呼吸機能の低下が進行した患者さんに対しては、症状をやわらげる目的で、在宅酸素療法が行われることがあります。また、胃酸が逆流して肺に入ってしまうと、肺がダメージを受けて、病気が悪化してしまうことがあります。そのため、病気が悪くなるのを予防するために、胃酸の分泌を抑えるおくすりが使われることがあります。

肺移植

病気が進んでしまい、ほかに有効な治療法がなく、特定の条件を満たした場合には肺移植が検討されることもあります。

治療にかかる費用について

医療費の助成などのさまざまなサポートを受けられます。

全身性強皮症の患者さんは、複数の治療を長期に行う場合があります。そのため、いくつもの診療科で検査をしたり、複数のおくすりが処方されることがあり、医療費が高くなってしまうことがあります。全身性強皮症の患者さんは、難病医療費助成制度など、さまざまな公的なサポートを受けられます。ぜひ利用しましょう。

これからどう経過するの?

日常の注意点は?